文豪しゐるの思ひ出

〈花籠やさんの文豪シリーズ入荷しました〉
あれは5年ほど前、BRUTUSの古本屋特集をリュックに入れて東京へひとり旅した時のこと。
人気のかき氷屋さんを通り過ぎ、階段を登って日暮里駅に向かう途中、谷中にはいい風が吹いていて、ふと目線の先に古本屋さんがあった。あほうどりという名前だった。
店に入ると、古本屋のおじさんが座っていて、その佇まいが、無性にかっこよくみえた。私は少し緊張した。
そこには本が山のように並べたり積んだりしてあって、古書の匂いが私の鼻先にぐんと向かってくる。わたしはアートブックや写真集を心許なくパラパラめくった。そんな本にまぎれて、この文豪しゐるがあった。私は見覚えのある親しみのある作家の顔に安心したのだった。
わたしは堀江敏幸の未見坂と一緒に文豪しゐるをレジに持っていった。今でもシールは大切にとってある。堀江敏幸の本は素敵な方にプレゼントした。まさか本屋をすると思わなかったけれど、するとしたらこれを置かないわけにはいかない。と思っていた。東京の匂いを思い出す。そして高校の時に魅了された文豪たちの作品を再読したくなる。
文豪風に長々と綴りましたが、一言で言うと「たまらん!」
この感じ、たまらない。。中也も、太宰も、高村光太郎までいるのです。。
太宰治と宮沢賢治の一筆箋。渋い。

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