人生の塩

ウェブマガジンの雛形がなくなってしまう。記事が見れるのは今月いっぱいだ。
わたしは連載もさせていただいて、お世話になったのでとても寂しい。始まりがあれば終わりがあるとは分かっていながらも。

コロナになりたての頃、オンラインショップに本の紹介文を書いて載せていたのを見つけて下さり、ちいさな本屋さんが選ぶ手触りのある3冊というテーマのもと、本を紹介させていただくことになった。飛び上がるほど嬉しかったし、しかもわたしから始まる連載だったのでもちろん不安もありながら楽しく書かせてもらった。わたしはそこでクロード・レヴィ=ストロースの『野生の思考』を紹介した。

一年後、縁側をしめて石川へ移住した。そこにももちろん本屋さんがあり、そのことが本当に嬉しかった。オヨヨ書林という古本屋さんにもたまに訪れては本を買った。
雛形の連載も、着々と続き、そうして最終回に紹介していたのがオヨヨ書林のなつさんだった。

わたしはオヨヨ書林に行って、なつさんが紹介していた『人生の塩』をさがしたけれど、見つからず、ついになつさんにきいてみた。するとなつさんは奥の方から本を持ってきてくれて、付箋をはがしはじめた。もう売ってもいいな。といいながら、なんと私に『人生の塩』を売ってくれたのだ。
その時の本の重みたるや。
この本はすごく珍しくて、永遠と筆者の
思う人生の塩的なものが連なっている。
嬉しいも楽しいも悔しいもとにかく様々なもの。嫌なことだって全部人生の塩。人生にとって大切なものなんだ。それはわたしにも沢山ある。
ちょうどショックなことがあったばかりだったけれど、この本を読むとそれもありな気がしてきた。
そうして読んで知ったのだけれど、筆者のフランソワーズ・エリチエは、レヴィ=ストロースの後継者としてコレージュ・ド・フランスの教授に就任していたりとレヴィ=ストロースと関わりがある人みたいだった。
私ではじまり、なつさんで終わった。
連載は終わりだけれど、レヴィ=ストロースで繋がって丸い輪っかみたいになったなぁと思った。
まことに勝手ながら、そんなことを妄想して私はとても嬉しかった。

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